13章 再会 (1/4) ~ 青い爪の踊り子

「その犯人を捕えて、うまくクレハ様を取り戻せたとしても、無断で魔石を持ちだしたことと、脱走の手引きをしたことで、罪に問われるのは避けられないでしょう」

「汚名を着せられるのは覚悟の上です。大義のためなら、すべてを失っても構いません」

アシュラムは迷いのない目つきで決心を告げて、のどを湿らす程度のリンゴ酒を飲んだ。相手の信念の強さを見てとると、ティミトラも踊り子から軍人の顔つきに戻った。

「私になにか協力できることがあれば言ってください」

その申し出を聞いて、アシュラムは相手を諌めるような表情になり、

「ありません。あなたはもう十分マヌ王国のために働かれた。私にはそれがすべてですが、あなたにはお子さんがいる。これからはご家族で平和に過ごしてください。あとのことは私に任せて、あなたは娘さんを連れて──」

話している途中で、隣でドカッと鈍い音がした。

さっきから手酌で何杯もリンゴ酒を飲んでいたカラスが、うつらうつらしてテーブルに頭を打ったのだ。

「こんなときに寝るなんてどういう神経してるんだ。おいっ、飲みすぎだぞ」

声をかけて揺さぶっても、カラスは起きない。手で体をかばいもしないで、思いっきり額を打っているのに。

ララは二階に行ったきり、物音も聞こえてこない。席を外させたのは込み入った話をするためだと思ったが……

おかしい。

アシュラムはそう気づいて、とっさにテーブルをひっくり返し、ティミトラが避けているうちに刀を抜いて突きつけようとした。

が、テーブルを倒して立ちあがった途端にめまいがして、刀を手にしたままふらついてしまった。その隙に、ティミトラに椅子で殴られ、そのまま押し倒されて椅子の下敷きにされてしまった。刀を持っている右腕を、椅子の背もたれで押さえつけられている。体が痺れて力が入らず、女の力で押しつけられている椅子を、どかすことができない。

「なにを……飲ませた……?」

椅子の脚でのどを押し潰されながら、なんとかそう言った。飲み物に毒が入っていたに違いない。

ティミトラは椅子の上に座り、しとめた獲物の額を、靴のかかとで踏みつけた。冷徹な表情で見おろしてつぶやく。

「ニーヤカーナであなたを助けたのは、間違いだったのかしらね」

その言葉が終わるか終わらないかのところで、アシュラムは気を失ってしまった。
次のページ