13章 再会 (3/4) ~ 古傷

彼女は踵を返して走りだし、カラスを階段の頂上から突き飛ばした。

カラスはみごとに吹っ飛ばされ、かなり下方にある踊り場まで転げ落ちた。打ちどころが悪かったら死んでたかもしれない。あちこち体をぶつけ、うめきながら上体を起こすと、間髪入れずに髪をつかまれ顔面を殴られる。相手は女だったが、元傭兵だ。パンチにキレがあって、男に殴られるのと大して変わらない。あまりに痛かったので、思わず平手打ちを返した。すると今度は腹を何度も蹴られ、金切り声で罵声を浴びせられた。

「おまえ、母さんになにやった? 気に入られるためになにした!? カシムみたいになんでもハイハイ言うこと聞いたか? それとも萎びたババアにでもその気になるのかよ? ララのことまでたらしこみやがって、ざけんな! おまえらララになにした!? なにさせた!?」

「……なにも……」

吐きそうになりながら、なんとか声を絞り出した。ララのことで、どうも酷い思い違いをされてるようだ。

ティミトラは答えを聞いて蹴るのを止め、やるせない表情をしたあと、地面につばを吐き捨てて去っていった。

しばらくのあいだ、カラスは身動きできず、腹を押さえてその場に倒れていた。
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