13章 再会 (4/4) ~ 告白

カラスは以前チタニアで、短いあいだだが、ブルーライトという麻薬の売人をやっていたことがある、と言った。そのとき、仲間の一人が上納するための金を使いこみ、カラスはほかの仲間たちとともにその男を取っ捕まえて袋叩きにし、素っ裸で凍った湖の上に置き去りにした。彼が盗んだのは、たったの3万シグだった。安い貸部屋のひと月分の家賃すら払えるかどうかの額だ。その男がどうなったかは確かめていないのでわからないが、『ありんこ』というあだ名だった。バースデーカードに書いてあったのと同じ名前だ。その一件があってからは気まずくなって売人をやめた。

それから、魔の森でララが盗んでしまった鍵がなんだったのかもわかった。鍵は伯父さんの屋敷の鍵だった。ララが返したあとは、魔の森に埋めてしまったらしい。カードも、森を出る荷造りをしているときに捨てた。

そんな風に話しつづけたあと、突然カラスは話すのをやめた。すべてを話しつくした、という様子ではない。顔から表情が消え、曲の途中でねじの切れたオルゴールのように静止している。

「どうしたの?」

ララはひさしぶりにあいづち以外の言葉を発した。さっきまでの勢いと打って変わって、答えが返ってくるのに時間がかかった。

「こんな奴といて、嫌にならないか?」

そばにいるだけで冷気が漂ってきて、まわりのものを全部凍りつかせてしまいそうな声だった。

でもララは、「ううん」と首を振って微笑した。

「カラスといると、楽しいし、気持ちいい」

カラスはさまよいだした自分の魂をつなぎとめるように、ララを抱きしめた。骨が折れそうなくらいきつく。

それから腕をゆるめ、そっと包むように抱き直した。

「私、ママと一緒に行かない。ずっとカラスのそばにいるよ」

カラスは髪をなでながら、消え入るような声で「ありがとう」と、つぶやいた。